慢性腎臓病から骨粗しょう症になるなんて!腎臓と骨の密接な関係

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カルシウムやビタミンDをしっかり摂っていても、骨粗しょう症になる場合があります。
実は、腎臓が悪くなると、骨からカルシウムがどんどん溶け出してしまうのです。
今回は、新たな国民病といわれる慢性腎臓病と骨粗しょう症の関係について解説します。
親や兄弟が腎臓病の人、健康診断で腎機能や血圧などに異常があった人は、できるだけ早めに骨のケアを始めましょう。

尿をつくるだけじゃない!腎臓の働き

腎臓の代表的な働きは「尿をつくる」こと。血液を絶えずろ過して、不要なものや余分な水分を尿として排出することで、体内のバランスを保っています。

また、血液をろ過するには一定の血流が必要なので、腎臓は「血圧を調節する」役割も担っています。さらに、「赤血球の産生を促す」ホルモンを分泌し、血液を増やしているのです。腎臓の機能が低下すると、赤血球が十分につくられなくなり、貧血になってしまいます。

そしてもう一つ、腎臓の大切な働きが「ビタミンDの活性化」です。これが骨の健康と深く関わっています。

カルシウムの吸収を助ける活性型ビタミンD

骨の健康に関心がある人は、ビタミンDの働きはご存知でしょう。骨の材料になるカルシウムの吸収を助けるのがビタミンDです。

日頃からカルシウムとビタミンDを積極的に摂るようにしている人も多いと思いますが、ビタミンDはそのままの形では機能してくれません。腎臓の働きによって活性型ビタミンDに変わり、ようやく機能するようになるのです。

腎機能が低下して活性型ビタミンDがつくられなくなると、ただでさえ吸収率が低いカルシウムが、余計に吸収されにくくなります。しかも、血液中のカルシウムは生命維持に不可欠なため、常に一定に保たなければなりません。

そのため、カルシウムが十分に吸収されない状態では骨からカルシウムがどんどん溶け出し、骨量が低下して、さらには骨粗しょう症につながってしまうのです。

慢性腎臓病は珍しい病気ではない

近年、中高年の慢性腎臓病が増えているのをご存知ですか?その数、推定1,330万人。成人の8人に1人とされ、糖尿病に次ぐ、新たな国民病だといわれています。にもかかわらず、骨と同様、普段から腎臓を気にかけている人は少ないでしょう。

骨も腎臓も、年齢の影響を受けやすい臓器ですが、特に高血圧や糖尿病の持病がある人は要注意。親が腎臓病の人も、腎臓病になりやすい体質は受け継がれますので、40歳を過ぎたら気を付けたほうが良いでしょう。
慢性腎臓病は徐々に腎臓の機能が低下していく病気で、一度失われた腎機能はほとんど回復しません。だからこそ、早期発見・早期治療が重要です。

健康診断の結果を見るときは、血圧・血糖値・脂質の値だけでなく、腎機能の値にも着目してみましょう。クレアチニンが高かったり、尿蛋白が+だったりする人は、腎機能が低下している可能性があります。

骨を守るために腎臓を守ろう

将来、骨粗しょう症にならないためにも、40代以降は腎臓を労わってあげましょう。慢性腎臓病の原因の多くは、高血圧や糖尿病だとされています。また、肥満や脂質異常症、高尿酸血症も影響しますので、これらの生活習慣病を防ぐことが大切です。

生活習慣病は長年の不摂生が積み重なって発症しますので、まずは普段の食事から見直しを。血圧が高めの人は減塩だけでなく、適正体重をキープしましょう。血糖値が高めの人も、バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。

ただし、極端な食事制限はNG。最近は糖質を減らしてたんぱく質を増やすダイエット法が流行っていますが、たんぱく質の摂り過ぎは腎臓に負担をかけます。また、上記のような病気が気になる人は、できるだけ早めに受診することが肝心です。

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文責:上辻 知津子(うえつじ ちづこ)

文責:上辻 知津子(うえつじ ちづこ)

管理栄養士・食育インストラクター 2000年からライター・編集者としてメディア制作に従事。業務を通じて食と健康に興味を持ち、2017年に管理栄養士資格を取得。現在は人間栄養学に基づいた健康記事の執筆活動を中心に、健康相談業務にも携わる。

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