プラントベースダイエットとは?骨の健康のために注意すべきこと

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美容や健康に関心が高い人たちの間で、プラントベースダイエットが注目されているのをご存じですか?
気軽にできて痩せやすいと評判ですが、間違った方法でプラントベースダイエットを続けると、健康に悪影響を及ぼしたり、体調を崩す恐れもあります。
今回は、プラントベースダイエットを始めるうえで、注意したほうが良いことをまとめました。

そもそも、プラントベースダイエットとは?

プラントベース(plant-based)は「植物由来の」、ダイエット(diet)は「食べ物」や「食生活」という意味です。つまり、プラントベースダイエットは、植物性食品を中心とした食事のこと。

アメリカの業界団体Plant Based Foods Associationは、プラントベースを「動物由来成分を含まない植物から作られた食品」と定義しています。

プラントベースダイエットはヴィーガンやベジタリアンと混同されがちですが、動物愛護の精神や宗教上の理由などはなく、動物性食品を一切食べないといったストイックなものでもありません。 どちらかといえば、気軽に始められるダイエット(減量)法として人気です。ヘルシーなイメージもあり、健康的に痩せられると思われていますが、実際はどうなのでしょうか。

プラントベースダイエットで健康的に痩せられる?

植物性食品の多くは、動物性食品と比較してカロリーが低いため、プラントベースダイエットによって摂取カロリーが抑えられ、減量につながると考えられます。

ただし、栄養の知識がないまま、本格的なプラントベースダイエットを始めるのはリスクが高いかもしれません。

よくいわれることですが、食生活はバランスが大切です。近年は動物性脂肪の摂り過ぎが懸念されているため、植物性食品の摂取がすすめられるだけであって、動物性食品を必要以上に控えると栄養バランスが悪くなってしまいます。

プラントベースダイエットで不足しがちな栄養素

健康的な食生活で特に重要なのは、たんぱく質・脂質・炭水化物の量と割合です。
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、摂取エネルギーの13~20%をたんぱく質から、20~30%を脂質から、50~65%を炭水化物から摂ることが推奨されています。

これを基準に考えると、肉や魚などの動物性食品は、たんぱく質と脂質が多く、炭水化物はかなり少なめ。一方、穀類をはじめ、芋類や果物、一部の野菜、大豆以外の豆類などの植物性食品は、炭水化物が多めです。
脂質は植物油やナッツ類から摂れますが、たんぱく質は大豆を上手く取り入れなければ不足しやすいと考えられます。

また、水分が多い野菜や果物、きのこ、海藻などでお腹が満たされると、エネルギーが不足するリスクもあります。摂取エネルギーが減れば痩せやすくはなりますが、必要なエネルギーが不足すると全身の栄養状態が悪くなってしまいます。

プラントベースダイエットで積極的に摂りたい食べ物は?

動物性食品を制限するなら、「畑のお肉」と呼ばれる大豆や大豆食品で、たんぱく質を補いましょう。大豆には女性が不足しやすい鉄や、骨の健康に欠かせないカルシウムも含まれています。

ただし、植物性食品に含まれる鉄は「非ヘム鉄」といって、動物性食品に含まれる「ヘム鉄」よりも吸収率が低いです。非ヘム鉄の吸収率を上げるには、ビタミンCを一緒に摂ると良いでしょう。

鉄が多い植物性食品は、パセリ・切り干し大根・大根やかぶの葉・小松菜・枝豆・ほうれん草・水菜・海苔・ひじきなどで、これらはカルシウムも多めです。
ビタミンCはピーマン・ブロッコリー・パセリ・ケール・ゴーヤなどに多く含まれています。

また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの主な摂取源は、鮭・鯖・秋刀魚などの魚類と干したきのこです。こうした魚も控えて植物性食品だけでビタミンDを摂るなら、きのこ類は軽く天日干ししてから調理しましょう。

プラントベースダイエットの注意点と効果的なやり方

最近は大豆ミートのような代替肉も増えたため、従来の献立のまま、肉の代わりに大豆ミートを使えば良いとお考えかもしれません。けれども、動物性食品を控えると鉄やカルシウムの吸収率が低下します。
よく食べる野菜といえば、レタス・トマト・にんじん・玉ねぎ・もやし・ブロッコリーくらい、という人は、鉄とカルシウムが不足する可能性が高いです。

カルシウムが不足しても骨に蓄えられているカルシウムが使われるため、すぐに調子が悪くなるわけではありません。一方、鉄は不足すると疲れやすくなったりします。
鉄とカルシウムは含まれる食品が共通していることが多いので、プラントベースダイエットを始めて疲れやすいと感じたら、カルシウム不足にも注意が必要です。

骨の健康のためにも、急激に体重が減ったり、いつもと違うと感じるときは、プラントベースダイエットは中断しましょう。また、はじめは週1回、肉を食べないようにするなど、段階的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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文責:上辻 知津子(うえつじ ちづこ)

文責:上辻 知津子(うえつじ ちづこ)

管理栄養士・食育インストラクター 2000年からライター・編集者としてメディア制作に従事。業務を通じて食と健康に興味を持ち、2017年に管理栄養士資格を取得。現在は人間栄養学に基づいた健康記事の執筆活動を中心に、健康相談業務にも携わる。

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