おうち時間と栄養の関係を知っていますか?

フード
Twitter

外出自粛が続く中、食生活が変わった人も多いでしょう。
食事の量や内容が変わると、きちんと栄養が摂れているか気になりますね。
これまでと同じように食べていても安心はできません。
実は、おうち時間が長くなるだけで、不足しやすい栄養素があるのです。

外に出ないだけで不足する栄養素がある

長引くステイホームで、「フレイル」が急増しているのをご存知ですか?

フレイルとは、加齢によって心身が衰えた「虚弱」状態のこと。高齢者では、食が細くなると身体の機能が低下し、精神的にも弱ってしまうのです。

外出自粛によって活動量が減ると、食欲が減退します。そのうえ人と会う機会が減り、社会的な側面からもフレイルのリスクが高まる可能性があるのです。

フレイルを招く要因は様々ですが、今回はある栄養素に注目してみました。フレイルと深い関わりがあるビタミンDです。

ビタミンDは紫外線を浴びた皮膚で合成されるため、足りない分を食事で補うという考え方ですが、家で過ごす時間が長くなると合成量が減り、不足しやすくなります。

ビタミンDが不足するとどうなるの?

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあるため、すべての世代の人が積極的に摂るべき栄養素です。欠乏すると骨をつくるカルシウムが足りなくなり、骨に障害が起こるリスクが高まります。子どもでは「くる病」、大人では「骨軟化症」と呼ばれるビタミンD欠乏症です。

さらに高齢者では、欠乏とはいえない程度の不足でも「骨粗しょう症」を発症しやすくなります。また、筋力維持や免疫にもビタミンDが関わっているとされています。

日本人の食事摂取基準では1日に摂るべきビタミンDの目安量が示されており、2015年版では5.5μg/日でしたが、2020年版では8.5μg/日に変更されました。研究が進み、ビタミンDの重要性が明らかになってきたからでしょう。

ただし、ビタミンDは摂取量の上限値も定められています。特にビタミンDを含む加工食品やサプリメントは要注意。サプリメントは基本的に大人向けの商品なので、同じ量を子どもに与えると多過ぎる場合があるのです。

ビタミンDが含まれる食べ物は?

ビタミンDは皮膚でも合成されますが、不足している人が多いといわれます。特に普段から念入りな紫外線対策をしている女性や、外へ出る機会が少ない高齢者は要注意。ビタミンDを含む食品はかなり限定されているので、意識して摂らないと不足してしまいます。

例えば、ビタミンCならほとんどの野菜や果物に含まれていますが、ビタミンDは鮭(サケ)・鮪(マグロ)・鯖(サバ)などの魚のほか、天日干ししたきのこ類が主な供給源です。これらを毎日食べている人は少ないのではないでしょうか。

牛レバーやチーズ、卵黄にも少量のビタミンDが含まれますが、通常の摂取量では不足しやすいため、ビタミンDを添加した乳飲料やシリアルなども売られています。

安くて手軽なきのこ料理でビタミンDを補おう

市販のビタミンD強化食品を活用するのも良いですが、きのこ類なら値段が安くて調理も簡単。しかも、低カロリーで食物繊維が豊富なので、おうち時間が長くなり、体重増加が気になる人にもおすすめです。

生のきのこ類は3~4時間ほど日光に当てると、ビタミンDの含有量が増加します。また、ビタミンDは油と一緒に摂ると吸収率がアップ。スーパーできのこ類を買ってきたら、短時間でも天日干しして、油を使う料理に加えると良いでしょう。

まとめ

ビタミンDは皮膚でかなりの量が合成されるので、適度な日光浴を心がけることも重要です。夏の晴れた日中なら5~10分で良いとされていますが、紫外線の量によってビタミンDの合成量は異なります。また、長時間の日光浴は皮膚がんのリスクになるため、食事で補うことも大切です。

おうち時間が長い今こそ、毎日の食卓にきのこ料理を1品プラスしませんか?

こちらの記事も読まれています

Twitter
文責:上辻 知津子(うえつじ ちづこ)

文責:上辻 知津子(うえつじ ちづこ)

管理栄養士・食育インストラクター 2000年からライター・編集者としてメディア制作に従事。業務を通じて食と健康に興味を持ち、2017年に管理栄養士資格を取得。現在は人間栄養学に基づいた健康記事の執筆活動を中心に、健康相談業務にも携わる。

この記事を読んだあなたにおすすめ

MBP基礎

TOP