骨がつくられる時間があるって本当?睡眠と骨密度の関係について

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仕事や家事、育児で時間に追われていると、知らず知らずのうちに短くなりがちなのが睡眠時間。夜遅くまで家事に追われていても、仕事の日、子どもの学校がある日は寝坊ができませんよね。

「睡眠時間が短くても、ちゃんと疲れは取れているから大丈夫」と思うかもしれませんが、そういうわけではなさそうです。夜の睡眠時間が十分でないと、骨に影響が出てくることがわかってきたのです。つまり、骨にもつくられる時間帯があるというのです。

20歳をピークに下がり続けるという骨密度。骨粗しょう症のリスクが高まる前に、睡眠についてもう一度見直してみませんか?

睡眠時間が短いと骨密度が低下する

2019年にアメリカで、女性11,084人を対象とした、睡眠時間と全身、総股関節、大腿骨頸部、脊椎の4部位と骨密度との関連性を検証する調査が行われました。
その調査によると、一晩に7時間の睡眠をとった女性に比べ、5時間以下の睡眠だった女性は、低骨量および股関節や脊柱の骨粗しょう症のリスクが高いという結果が出ました。

これまであまり知られていなかったかもしれませんが、睡眠時間が短いと骨密度が低くなりやすい傾向があるということがわかってきたのです。

睡眠中に分泌される成長ホルモンは骨を成長させる

睡眠中に分泌されるホルモンのひとつである成長ホルモンは、子どもにとっては身長が伸びるなど、成長に欠かせないホルモンです。
しかし、子どもの成長のためだけに働くものではありません。人間の代謝調節に関与し、免疫機能を促進させる、脂肪分解作用により体脂肪を分解する、筋肉を増大させるなど様々な作用があることがわかってきています。

この作用のひとつに、骨を成長させたり、骨の量を保つなどの作用があるため、骨は睡眠中につくられているといえるのです。

理想的な睡眠とは、ただ長く眠ればいいわけではない

良い睡眠とは、スムーズに入眠できること、よく眠れたと実感できること、寝覚めがいいことだといわれています。質の良い睡眠では、入眠直後に深い睡眠に入り、90分間のサイクルで深い眠りのノンレム睡眠と、浅い眠りのレム睡眠を繰り返します。このサイクルを4~5回繰り返すと、熟睡感と快適な目覚めが得られるといわれているのです。

また、成長ホルモンは、脳も身体も十分に休んでいるノンレム睡眠中に分泌されるため、その分泌は睡眠の質と深い関係があるといわれています。つまり、骨密度を高めるためには、長時間眠ればいいわけではなく、睡眠の質も大切なのです。

十分な睡眠時間と質の良い睡眠が骨を強くする秘訣

睡眠時間を確保するには生活や仕事のやりくりが必要であるため、すぐに改善することは難しい面もあるかもしれませんが、今日からできることもあります。

人間は、朝、日光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンが自然に分泌されると眠気を感じやすくなります。
寝る前にスマホやテレビの明るい光を見ない、寝る3時間前には食事を終わらせる、多量のアルコール、カフェインの摂取、激しい運動、熱すぎる風呂への入浴を避けるなど、入眠前にリラックスすることは夜の睡眠の質を良くするために有効です。就床時刻に近い時間帯での仮眠は、夜間の睡眠の入眠を妨げるなど睡眠の質を低下させるので避けた方がいいでしょう。また、寝室の音や光を遮り、温度や湿度を快適なものにすることも大切です。ただし、睡眠時間を確保しようと眠くもないのに寝床に入るのも、心理的緊張を高めるため逆効果であるといわれています。

睡眠中は、他にも身体の機能の修復、記憶の整理などを行い、自律神経のバランスを整えます。睡眠は日中の活動性とも密接な関係があるため、昼間はダラダラと過ごすより活動的に動き、睡眠時間を確保するよう努めた方が、骨も脳も身体も強くなりそうですね。

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文責:良友 杏(よしとも あん)

文責:良友 杏(よしとも あん)

薬剤師。 薬局勤務などを経て、現在は子育てをしながら、健康や美容に関する記事の執筆を中心に活動。多くの情報が溢れる中、読者が古い情報や偏った情報に不安にならないよう、常日頃からメディアなどにアンテナを張って、自分の知識の更新に努めている。

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